日本各地で茶の品種はさまざま栽培されています。
品種は、大きく分けて「煎茶用」「玉露・抹茶用」「釜炒り茶用」「紅茶用」に分類されます。また、「早生品種」「中生品種」「晩生品種」があります。早生品種とは、一番茶の茶摘み時期が早いもので、晩生品種は遅いものをいいます。中生品種は早生品種と晩生品種の中間で、主にやぶきたが基準とされています。早生品種はやぶきたよりも4~10日ほど茶摘み時期が早く、晩生品種はやぶきたよりも4~10日ほど遅いです。茶の木は霜の被害を受けやすく、冷涼な地では遅く育つ晩生品種を選ぶなど、気候や立地なども考慮し、品種が選ばれます。
ここでは日本で栽培されている茶の品種のなかから、代表的な11種を挙げます。
目次
やぶきた
やぶきたが普及したのは1960年代といわれています。栽培しやすい品種で、安定した収穫量をのぞむことができます。また、なによりも霜に強いという特徴を持ち、広まりました。現在、国内の全茶園面積のうちの約75%と圧倒的な栽培面積を誇っています。
かなやみどり
S6とやぶきたの交配種です。煎茶用の品種として栽培されています。水色が濃く出やすいという特徴を持ち、独特の甘い香りがします。鹿児島県、静岡県が主な生産地です。早生品種です。
さえみどり
やぶきたとあさつゆの交配種です。煎茶用の品種として栽培されています。色は明るい緑色で、フレッシュな香りが強く出ます。鹿児島県が主な生産地です。早生品種です。
ゆたかみどり
あさつゆから品種改良されました。寒さに弱く、九州地方で多く栽培されています。被覆して強く蒸すことにより、濃厚なうま味がひき立ちます。鹿児島県が主な生産地で、早生品種です。
あさつゆ
宇治の在来種から誕生しました。碾茶や玉露、かぶせ茶などの、被覆栽培に向きます。うま味が強く、天然玉露とも呼ばれます。鹿児島県が主な生産地で、早生品種です。
つゆひかり
静岡県の品種・静7132とあさつゆを交配したものです。鮮やかな緑色をしています。深蒸し煎茶に向いています。静岡県が主な生産地で、やや早生品種です。
さやまかおり
やぶきたの自然交配種として、埼玉県で誕生した品種です。寒さに強く、煎茶にしたときの香りが強い特徴を持ちます。埼玉県、静岡県を主な生産地で、中生品種です。
さみどり
宇治の在来種から誕生しました。碾茶や玉露などの被覆栽培のお茶に適しており、色は冴えた緑色をしています。煎茶用としても使われます。京都府が主な生産地で、早生品種です。
べにふうき
べにほまれと枕Cd86の交配種です。紅茶用の品種ですが、抗アレルギー作用のあるメチル化カテキンを残すには緑茶にします。鹿児島県が主な生産地で、中生品種です。
おくひかり
やぶきたと中国種Cy225を交配したものです。香りが高く、鮮やかな水色をしています。やや渋みが出ますが、耐寒性が強く山間地に適しています。静岡県が主な生産地で、晩生品種です。
おくみどり
やぶきたと静岡県の在来種を交配して生まれました。くせが少ないため、ブレンドがしやすい品種です。煎茶や玉露用です。鹿児島県、京都府が主な生産地で晩生品種です。